六渡寺海岸清掃活動(射水市)

地域

県西部を流れる一級河川の小矢部川と庄川の河口に挟まれた長さ約600㍍の六渡寺海岸には、様々な漂着物が大量に流れ着く。現在、六渡寺自治会の顧問を務める境信誓さん(73)は「夏になると毎日のように海水浴を楽しんだ」と子どもの頃のきれいだった海岸を思い起こす。

 当時から流木や稲わらなどが漂着していたというが、経済発展とともに容器や袋、プラスチック製品など様々な物が流れてくるようになり、さらに沖に設置された消波ブロックの影響で、一旦漂着すると海に流れ出すことなく、どんどん堆積するようになった。

地元有志のグループが長く自発的に海岸清掃を行っていたが、2011年から六渡寺自治会と一緒に行うようになり、地域住民一丸となった清掃活動を本格化させるとともに、行政による回収ゴミの処理や定期的な重機での漂着物の除去も行われるようになった。

同時にこの年の9月、全国のラジオ局が展開する環境活動の一環で、地元FMとやまの呼び掛けによる大規模な六渡寺海岸の清掃イベントが行わると、300人もの参加者が集まり、ゴミだらけの海岸を多くの人が目の当たりにすることになった。

11年度に、六渡寺海岸から回収・処理されたゴミの量は139㌧。県の漂流・海底ゴミ実態把握調査でも県内で一番ゴミの多い海岸と判明しており、環境省のシミュレーションではその8割が県内で発生したものと指摘されている。

境さんらは県内各地で講演し、川を流れていくゴミの実情を伝え続けた。現地を訪れた砺波市の小学校の児童が「僕たちのゴミを片付けなくちゃ」と言ってゴミを拾い始めたのが印象的で、活動を続ける気持ちを新たにしたという。13年には小矢部川流域の自治体や経済団体、農協、環境団体など25団体が集まり「富山県海岸漂着物対策協議会小矢部川流域部会」が設置され、広域的な連携も始まった。

漂着ゴミは減少傾向にあり、理解の広まりを感じているというが、肥料に使われているプラスチックのカプセルや樹脂成型の材料のペレットなど、事業活動から出たゴミも多い。最近はボランティア団体だけでなく、企業の清掃参加も増えており、色々な人の理解が必要だと感じている。

 境さんは「住民が安心・安全に過ごせる環境と、再び泳げる六渡寺海岸を取り戻したい」と清掃活動の中心になって、呼びかけを続けている。

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