全国の地方都市の中心市街地で空き店舗、空き家の増加が問題になっている。高岡市でも中心地の空洞化が深刻で、昨年10月の市の調査によると、中心商店街124店舗のうち空き店舗は27軒と、全体の21・8%に上る。
そんな中心商店街の1軒の空き店舗を拠点に、市内の若手経営者のグループが東京科学大学の学生らと共同で、空き家再生に取り組んでいる。
経営者グループは高岡商工会議所青年部の会員・OGで、不動産業、不動産鑑定士、建設業、高岡銅器の異業種の4人。昨年4月に空き店舗、空き家の利活用に取り組む会社「アキヤテラス」を設立し、商店街の衣料品店跡の空き店舗に今夏第一号の再生店がオープンする。
空き家に価値を与える
メンバーの1人、不動産鑑定士の服部恵子さんは、土地評価などの仕事を通じて空き家問題を目の当たりにしてきた。そんな中で2013年、「さまのこ」と呼ばれる格子戸のある古い町家に出会い、自ら購入して改修し、ゲストハウス「ほんまちの家」として運営を始めた。

このプロジェクトを進める中で、都市計画が専門の東京科学大学の真野洋介教授(当時東京工業大准教授)と出会い、研究室の学生と共同でゲストハウスの企画や運営を行ったのを皮切りに、タッグを組んで市中心部の空き店舗の再生や、建築物を巡る町歩きイベントなどに取り組んできた。
その「ほんまちの家」を仲介したのが不動産業の清水悟さん。老朽化した建屋は不動産としての価値がないと考え、更地にして販売するつもりだったが、新しいオーナーの意思で建物が再生されるのを見て、空き家の価値観が変わったという。以来、仲介以外に、自社で所有した空き店舗や空き家をリノベーションして、販売、賃貸する事業を拡大してきた。


多くの人を巻き込む活動に
2023年に商工会議所青年部の会長に就いた建設業の狩野達郎さんは空き家を活用した町の活性化を考える「エリアリノベーション委員会」を立ち上げた。高岡を若い力で盛り上げたいと1年間勉強会や空き家活用の事例見学を実施する中で、青年部OGの服部さん、会員の清水さん、そして銅器鋳造メーカーの藤田和耕さんと4人で、空き家に光を当てる活動を実践しようと「アキヤテラス」を設立した。「せきのま」と名付けた空き店舗は、メンバーと学生が話し合って活動拠点に改修。一部はテナントとして貸し出すことにし、射水市の女性がカフェのオープンに向けて準備を進めている。また、古い商店や空き家はオーナーや近隣住民の思い入れも強いことから、遊休不動産の利活用の理解を進めるセミナーも開催してきた。

清水さんは「空き家は見る人の感性で価値が全く違う。幅広い視点でアイデアを出したい」とグループで運営する意義を強調し、服部さんは「それぞれの幅広い人脈を生かし、関係者や支援者を増やし、色々な人を巻き込みたい」と話す。シャッター通りを面白い町にと、ネットワークを広げている。
月刊富山県人 2025年4月号