なめりかわ建物フェス

地域

滑川市の海沿いを走る県道1号富山魚津線は旧北陸街道の面影を残し、道路沿いには国登録有形文化財にもなっている古い商家などが多く見られる。旧町部に残るこうした建物を中心にして町の歴史や魅力を伝えようと、昨年3月に開かれた「なめりかわ建物フェス(通称なめフェス)」が、今年も新たな趣向を加えて4月11 、12日に開催される。

歴史的建造物の魅力発信

5100人が訪れた第1回なめフェス

5100人が訪れた第1回なめフェス

瀬羽町から神明町にかけて、江戸末期から昭和初期の建物が多く残っている。その所有者らを中心に2013年、「NPO法人滑川宿まちなみ保存と活用の会」が発足し、古い建物の修復、管理を進めるとともに、建物を活用したイベントなどを開き、町並みの魅力を発信してきた。この取り組みが周知されるにつれて空き家に飲食店や雑貨店の出店が増え、県内外から若者が訪れるようになってきたが、取り壊されてしまう建物も多く、空き地も目立っている。

なめフェス実行委員長の法澤龍宝さんは市内で建築設計事務所を営む。地元の古い町並みはよく知っていたが、なめりかわアンバサダーの相川知輝さんから「若い建築マニアにもとても高い評価を得ている」と聞いて再認識し、また建物を見て回る「建築イベント」があることも知った。20代〜40代の若いメンバーを中心に実行委員会を結成し、市やまちなみ保存と活用の会の協力を得ながら第1回のなめフェスを企画した。普段見られない場所や一般公開していない建物も公開し、2日間で延べ5千100人が訪れ、県内外の建物ファンだけでなく、市民にも広く地元の財産を広めることに成功した。

昭和初期の洋館 旧高嶋医院

昭和初期の洋館 旧高嶋医院

公開した建物の中には昭和初期から戦後にかけて、詩人として活躍した医師、高島高の生家「高嶋医院」もある。昭和6年建築の洋館だが、現在は空き家となっており、所有者は取り壊しを考えていたが、このイベントをきっかけに、建物を残すため利活用方法を模索しているという。

 

 

 

次世代に歴史の継承を

昨年は宿場町を軸に展開したが、今回は「滑川の歴史を違う側面からも発信したい」と法澤さんは話す。滑川は中新川地域の経済の中心として栄え、越中売薬に携わった商家も多い。また1918(大正7年)年に県内各地で起こった一連の米騒動では、滑川での騒動が2千人も集まる県内最大のものになったが、舞台となった金川宗左衛門商店の米倉の一部が残っており、3年前から空き家になっている。かつては繁華街として賑わった晒屋通りにあり、副実行委員長の中川綾さんは、なめフェスでの公開後に人が集う拠点にしたいと利活用のアイデアを練っている。

実行委員会の相川さん、法澤さん、中川さん

もう一つ取り組むのが「語り部」の育成だ。前回のガイドツアーの企画には市やまちなみ保存と活用の会の協力を仰いだが、今回は実行委員会を中心に内容を考え、高校生ガイドによるツアーも実施する。建物の所有者の高齢化が危惧される中、イベントを通じて多くの人に歴史的な文化財の存在を広めると同時に、地元の歴史や文化を次世代に繋ぐきっかけとすることを狙う。

12日はガイドツアーでの案内が中心。予約なしでは見学できない建物もあるので、詳しくはホームページで確認を。

 

月刊富山県人 2026年4月号

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